太陽電池は、カーボンニュートラル実現に向けた主力電源として、今後の経済活動を支える再生可能エネルギーのひとつです。なかでもペロブスカイト太陽電池は、太陽光発電をさらに普及させる次世代の太陽電池として注目されています。
〇ペロブスカイト太陽電池とは?
ペロブスカイト太陽電池とは、新しいタイプの太陽電池で、ペロブスカイト構造を持つ材料を使って作られたものです。ペロブスカイト材料は、特定の結晶構造を持ち、高い光吸収効率と柔軟性を備えています。
特に柔軟性はすごく、厚さは1mm、折り曲げることもできます!
なので従来設備が難しかったビルの壁や窓、湾曲した屋根にも設置可能となっており、重さも気になりません。
ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池と比較して製造コストが低く、性能も向上する可能性があるため、次世代の太陽電池として注目されています。
〇ペロブスカイトとは?
ペロブスカイトは、特定の結晶構造を持つ材料の総称です。もともとは酸化カルシウムチタン(CaTiO₃)で発見されましたが、現在では同じ結晶構造を持つさまざまな化合物がペロブスカイトと呼ばれます。この構造を持つ材料は、太陽光を効率よく吸収し、電気に変換する能力が非常に高いです。
ペロブスカイト太陽電池の特長
高効率
ペロブスカイト材料は光を効率よく吸収し、エネルギーに変換する能力が優れており、近年の研究では25%を超えるエネルギー変換効率が報告されています。これはシリコンベースの太陽電池に匹敵する効率です。
低コスト
従来のシリコン太陽電池は、高純度のシリコンを使って作る必要があり、製造に時間とコストがかかります。しかし、ペロブスカイト太陽電池は低温プロセスで製造できるため、材料コストと製造コストが大幅に削減される可能性があります。
柔軟性
ペロブスカイト太陽電池は、薄膜状に加工できるため、シリコン太陽電池に比べて軽量で柔軟性があり、様々な形状や基板に適用できます。
例えば、建物の窓や衣服、車両など、さまざまな場所に取り付けることが可能です。
多様な用途
軽量で薄く、かつ透明にすることができるため、建築材料としての利用や、ポータブル電子機器への応用が期待されています。また、既存のシリコン太陽電池の上に重ねて使用する「タンデム型太陽電池」にも応用でき、さらに高い効率を目指すことができます。
〇日本におけるペロブスカイト太陽電池
既存の太陽光パネルを設置する方式では、国土の狭い日本で設置できる余地は大変少なく、各地で林地を開発してそこに太陽光パネルを設置することが多いです。なのでトラブルも相次いでいます。
また、既存の太陽光パネルの原材料はシリコンであるため、中国が主な供給源となってしまい、エネルギー安全保障の観点から、不安があります。
ペロブスカイト太陽電池はこれらの課題の解決策になります。
従来の太陽光パネルよりも設置場所の制約が少なくなるため、設置場所確保のためのトラブルを減らすことができます。
また、ペロブスカイト太陽電池の主原料はヨウ素であるため、日本国内で安定調達できます。(ヨウ素の生産量は日本が世界シェアの約3割を占めています!)
これらの点から、ペロブスカイト太陽電池は日本のエネルギー安全保障上でも最重要項目となっているのです。
〇ペロブスカイト太陽電池の課題
耐久性
ペロブスカイト材料は、シリコンに比べて環境的な安定性が低く、湿気や熱に弱いという問題があります。これを解決するための保護技術や材料改良が進められています。
大規模生産への課題
研究室レベルでは高効率が確認されていますが、商業規模での大規模生産にはまだ課題が残っています。特に、効率を保ちながら耐久性や信頼性を確保する技術が必要です。
材料の安全性
現在のペロブスカイト材料には鉛などの有害な物質が含まれている場合があり、環境や健康への影響が懸念されています。これを解決するため、鉛を使わないペロブスカイト材料の開発が進められています。
〇まとめ
さて、ここまで次世代の
ペロブスカイト太陽電池は、高い効率と低コスト、柔軟性を兼ね備えた次世代の太陽電池として、非常に注目されています。シリコンベースの太陽電池の限界を超え、より幅広い応用やさらなるエネルギー効率の向上が期待されており、研究開発が進んでいる分野です。ただし、耐久性や安全性の課題をクリアする必要があり、これらが解決されれば、太陽光発電の未来を大きく変える技術となるでしょう。