国際収支とは何か皆さんご存知でしょうか、、、?社会人必須用語にもかかわらず意外と知らない概念です。
今回はそんな「国際収支」を解説していきます!
〇アジェンダ
①「国際収支」ってなに?
〇国際収支のイメージ
〇国際収支の構成
〇国際収支のバランス
〇例で考える国際収支
〇国際収支が重要な理由
②日本の国際収支
〇直近の日本の国際収支
①「国際収支」ってなに?
国際収支をわかりやすく説明すると、これは国と他の国との間で行われた「お金のやりとり」をまとめた大きな家計簿のようなものです。簡単に言うと、日本が外国とどれだけお金のやり取りをして、儲かったり(黒字)、損したり(赤字)しているかを見るためのデータです。
〇国際収支のイメージ
日本が他の国と貿易や投資、サービスのやりとりをすると、たくさんのお金が動きます。
それらのやりとりは大きく分けて「お金をもらう(収入)」と「お金を払う(支出)」に分かれます。国際収支では、こうした収入と支出のバランスを確認できます。
例えば、次のような場合が含まれます
日本が外国に車を売った → お金が日本に入る(収入)
日本が海外から石油を買った → お金を外国に払う(支出)
日本の企業が外国で事業を始めた → 日本からお金が外国へ投資される(支出)
外国の企業が日本に投資した → お金が日本に入ってくる(収入)
〇国際収支の構成
国際収支は大きく3つに分かれています。それぞれが家計簿の項目のように、異なるタイプのやりとりを示しています。
経常収支(けいじょうしゅうし)
これは、日常的に行われる「物やサービスの売買」や「利息や配当のやりとり」です。以下の3つに分かれます。
貿易収支: 商品の売買(輸出と輸入)。たとえば、日本が車を売るとお金が入ってきます。
サービス収支: 旅行や輸送などのサービスのやりとり。例えば、外国人が日本に観光に来ると日本にお金が入ります。
所得収支: 海外に投資したお金からの利益(例えば、外国企業に投資して得た配当金など)。
資本移転等収支(しほんいてんとうしゅうし)
これは、国境を越えた大きな資産のやりとりです。たとえば、外国からの贈与やインフラの支援などが含まれます。
金融収支(きんゆうしゅうし)これは、お金の貸し借りや投資、金融取引です。
外国企業に投資する: 日本の企業や人が外国にお金を投資すると、支出として記録されます。
外国が日本に投資する: 逆に、外国が日本に投資すると、日本にお金が入ってきます。
〇国際収支のバランス
黒字: 日本が外国に売ったり投資されたりして、もらったお金が多いときは「黒字」です。たとえば、たくさんの車を売ってお金が入ってくると、日本は黒字になります。
赤字: 逆に、外国から買ったものや投資したお金が多いときは「赤字」になります。たとえば、たくさんの石油を買ってお金を使いすぎると赤字です。
〇例で考える国際収支
たとえば、あなたが日本だとしましょう。
あなたは「車を外国に売る」「外国からおいしい果物を買う」「海外旅行を楽しむ」「海外の会社にお金を投資する」など、いろんな形でお金を外国とやり取りします。このお金の出入りをまとめたものが国際収支です。
車を売って儲ける → あなたの収入(黒字)
旅行に行ってお金を使う → あなたの支出(赤字)
〇国際収支が重要な理由
国際収支を見ると、日本が世界でどれだけ活発にお金のやりとりをしているかが分かります。もし黒字が多ければ、日本は経済的に良い状態で、外国からも信頼されていることを示します。逆に、赤字が続くと、借金が増えたり経済が弱まる可能性があります。
国際収支は国の経済の「健康診断」のようなもので、政府や企業が経済政策を考える際に大事な指標です。
②日本の国際収支
ここでは日本の国際収支を見ていきます。
日本では、恒常的に経常収支の大幅な黒字が続き、いわゆる「黒字大国」と呼ばれる時期が長く続きました。
日本の巨額の対米輸出が問題視された1980~90年代は、「海外からの稼ぎ」というとほぼ貿易黒字で占められていました。一方で、当時は貿易不均衡是正が叫ばれていました。
そのため、日本の企業は円高対策として生産拠点を海外に移転すべく、「直接投資」という形で海外に子会社を設立しました。
その結果、国内でモノを生産して輸出で稼ぐのではなく、生産は海外子会社が行いそこで上がる利益が配当という形で国内の親会社に還流するようになったわけです。
そして2011年、原子力発電所停止による燃料輸入増加を背景に貿易収支は赤字に転落しました。
2022年のロシアのウクライナ侵攻以降は、エネルギー価格が高騰したことで日本の輸入総額が増加し、貿易赤字が拡大しました。
〇直近の日本の国際収支
では、現在の日本は赤字なのでしょうか、黒字なのでしょうか。
下記の図にあるように、日本が海外との貿易や投資でどれだけ稼いだかを示す、ことし7月の経常収支は3兆1930億円の黒字で、7月としては過去最大になりました。
円安や海外の金利上昇を背景に、日本企業が海外の子会社から受け取る配当金が増加したことなどが主な要因です。
〇終わりに
ここまで国際収支の基本情報を紹介してきました!
まだまだ奥が深いのですが、本記事ではいったんここまでとさせていただきます。
また第2回でお会いしましょう!
〇参考文献
https://navi.funda.jp/article/trading_keizaisihyo
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014576921000.html
https://www.smtb.jp/personal/useful/market-column/sera-column_37